左脳は右脳の夢をみる

24歳で脳出血を起こしても、この世界で誰かを守るために生きる1人の軌跡。

2ヶ月ぶりの「ただいま」

私には【コパン】という名前の飼い猫がいます。その名の通り私の【仲間】のような存在で、里親さんから引き取った翌日には既に私の膝の上で寝てしまうくらいに人懐っこく、平日の朝に眠気と戦いながらほおばる食パンを横からかじってしまうくらいに食いしん坊なオス猫です。そして心の不調で2度の休職をしても諦めなかった私の生きる意味。

3月3日午前中ー脳出血で倒れたあの日、私は一人暮らしをしていた都内のマンションを出ましたー「コパちゃん、心療内科に行ってくる!」といつもするように行き先を告げた後、彼の頭にキスを落として。

 

でも次にドアを開けたのは私の父でした。私が倒れた後のことを考えてコパンを実家へ一時引き取るために。

そして彼を置いて11時間にも及ぶ大手術を経験した私は約2ヶ月後の今日、4月28日に【仲間】と再会を果たしたのでしたー「コパちゃん、ただいま」

運動麻痺と感覚麻痺のある左手で彼の身体を撫でて思わず涙が出そうになりました。

鈍くではあるものの、少し硬い毛並をまた左手で感じられたからです。

私が今こうして彼に「ただいま」のキスができるのも執刀医の三輪先生をはじめとした沢山の方々のおかげ。

術前はピクリとも動かなかったという左手で不器用ながら彼の身体を触ることができ、その命に触れたことを感じることもできる。

「ありがとう」に代わるもっと素敵な言葉があればいいのにー私を再び彼に触れさせてくれた三輪先生をはじめとした先生方、看護師の皆さん、母と父…私は明日も生きます。

その次の日もそのまた次の日も。彼を両手で抱き締められたその次の日も…ずっと。