左脳は右脳の夢をみる

24歳で脳出血を起こしても、この世界で誰かを守るために生きる1人の軌跡。

優生思想と病について

ALS患者が安楽死を望み、その手助けをした医師について「優生思想」の持ち主であると書かれている記事を読んで、数年ぶりにブログの編集画面を立ち上げている。 私は2017年に24歳で脳出血を起こし、今でも左上下肢に軽微な麻痺がある。 そんな状況の私からす…

多様性について

9月上旬に復職をした私はヘルプマークを鞄に付けて家を出た。 不自由な左手でわざわざ「自分には障害があります」というレッテルを付ける作業が苦しくて玄関で声を上げずに、冷静にその湧出する感情を処理するように、ただ涙を流しながらヘルプマークを付け…

多様性の誤解

9月上旬に復職をした私はヘルプマークを鞄に付けて家を出た。 不自由な左手でわざわざ「自分には障害があります」というレッテルを付ける作業が苦しくて玄関で声を上げずに、冷静にその湧出する感情を処理するように、ただ涙を流しながらヘルプマークを付け…

明(あきら)める、ということ

キーボードに貼ったピンクのテープを二枚、剥がす。 剥がれた爪の上から看護師さんに貼ってもらった絆創膏をはがした時のように、境界線を取っ払うことで起きるかもしれない未来に少し、怯えながら。

♩=118

午前8時30分頃ー改札からどっと流れ出る人の列の合間を抜けて歩く。 数日前から私は院内を歩く前に医療スタッフの足元を観察するようになりましたーイヤホンから聴こえるメトロノームのテンポを合わせながら。 入院当初から担当理学療法士のエノモトさんと「…

ひねくれ「努力論」

20時30分―病室中央にあるリハビリルームにあるベッドに寝っ転がり、歩行器の金具に反射して天井に映る光をぼんやりと眺めていました。 歩行リズムを一定に保つために聞いていた、メトロノームの音がイヤホンをした耳から濁流のように流れ落ちていく… ―「私は…

「夜の思い」は言葉のかたち

消灯の21時を過ぎても私はこっそりと机に向かっている―リズミカルとはいえない、タイピング音を響かせて。 左脚の方は先日杖が外れ、装具のみになったので、血豆をつくりながら1日1万歩を達成すべく、歩き続けています。 creacreative-megumi.hatenablog.com…

おもひで1万歩街道

iPhoneでは「ヘルスケア」というアプリが常時表示されている。その中に過去に自分が歩いた【歩数】が記録されていることを最近知った。 脳出血で左手脚がひねくれる直前の2月の記録を見ると、1日の平均歩数は8,163歩。仕事で取材がある日は1万歩を超えていま…

正義のギセイ

どうやら、私は真面目になればなるほど、自分が苦悩して出した解を【正義】と決めつけてしまうらしい。 creacreative-megumi.hatenablog.com 先日の『読売新聞』でも京大の立て看板撤去、という【正義】の解を巡る騒動について以下の様に書かれていました。 …

月と六ペンス

イギリスの小説家サマセット・モームの代表作『月と六ペンス』を手に取ったのは大学2年生の始めー岩波文庫から出ていた夏目漱石の著書を大方読み終え「海外文学にも手をつけてみよう」と思っていた頃―題名に惹かれて出会った一冊。月は「夢」を六ペンスは「…

失われた「多様性」を求めて

昨晩、下記の記事を読んでいて考えたことがあるー「Webライティングにおいて【多様性】を求めることは難しいのではないか?」 toyokeizai.net ざっと上記の記事を要約すると、 今年の2月、大学生協が発表した報告書によると、大学生の53.1%が1日の読書時間…

ビスケット1枚とあめ玉1つ

今回は私の生活今昔について―私は過去にも書いたように「心がひねくれた」ことが原因で休職を2度させていただきました。 creacreative-megumi.hatenablog.com 1度目の休職時はなぜ自分がベッドから起き上がることすら難しくなったのか考えることすらできませ…

「速く!もっと速く!」

今回は先日に続いて、力強い言葉をくれたエノモト先生とのリハビリについて。 creacreative-megumi.hatenablog.com エノモト先生は小柄で溌剌としたアラサーの理学療法士。柔道に打ち込んでいた高校時代に理学療法士になることを決意したそう。 「都内の会社…

私の違和感

2年ほど前の初夏ー神保町でオルハン・パムクの『僕の違和感』上下巻を渋々棚へ戻した日のことを思い出す。彼の言葉から香る崇高さや艶美さすら感じさせる装丁の柔らかな手ざわりをひねくれた左手が覚えているほどにその本を離し難かったのですが、私は二つの…

はみ出しモノは正直モノであれ

今回は少しだけ情けない社会人1年目の話を交えて。 社会人1年目の時ー私は「多量の請求書を三つ折りにする」「多量の請求書とその控えを分別する」というごく簡単な仕事すら満足にできませんでした。 なぜか?ー頭の中で先輩の指示をまとめることが難しく、…

会心の一撃

復職へ向けて真っ直ぐに進む(正しく目標設定をする)ためにリハビリの先生方にお時間を頂いてミーティングを行った私。 creacreative-megumi.hatenablog.com 今日のミーティングのために昨晩消灯時間ギリギリまで机に向かっていたのですが、結局復職までの大…

ストレイト・ストーリー

今日から室内での杖歩行を許可された私ですが、まだ左脚で体重を支えることが苦手でどうしても身体を右に傾けながら歩いてしまいます。 だから、感覚麻痺のある私が身体を真っ直ぐに歩く為には鏡を使うかリハビリの先生方に指摘していただく必要があります。…

2ヶ月ぶりの「ただいま」

私には【コパン】という名前の飼い猫がいます。その名の通り私の【仲間】のような存在で、里親さんから引き取った翌日には既に私の膝の上で寝てしまうくらいに人懐っこく、平日の朝に眠気と戦いながらほおばる食パンを横からかじってしまうくらいに食いしん…

カカシは人の夢を見る

朝6:00ーまず「ひねくれた左手」を使いながらパジャマからスポーツウェアへ着替える。 朝6:30ーこれも左手を使いながらパジャマと布団を畳む。 着替えは仕方ないとしても後者は省略した方が苛立たずに気持ちの良い朝を迎えられそうですが、これもリハビリ。 …

鏡に映るは過去の自分

前回のブログを書いていて考えたことがあるー「先生と私のリハビリに対する想い云々の前に…クリエイターが仕事にかける熱量と私のそれは本当に釣り合っていたのか?」 creacreative-megumi.hatenablog.com 私の仕事はクリエイター向け情報サイト「CREATIVE V…

人生の責任者は私

実家付近のリハビリ病院へ転院して今日で5日が経った。1日1時間だったリハビリの時間が3時間になり、心地よい疲労感のおかげで夜は眠剤も必要ありません。 しかし、不安は山積みでー

ひねくれモノ、世代の壁を越える

転院2日目の朝。慶應義塾大学病院では自分の部屋で食事を摂っていましたが、ここでは団欒ルームで食事を摂ります。テーブルに座っている(というか入院患者の大半)が60代以上であるため、入院初日の昨日は「挨拶」と「自己紹介」だけして他の方々の会話を頷き…

「俗世」との距離感

今日、誕生日の3月4日から1ヶ月強の間入院していた慶應義塾大学病院を退院します。 そしてそのまま実家から車で30分のところにあるリハビリ病院へ転院。 エモーショナルな文章はお休みして…旅立ちを前にした私が空想していることを書きたいと思います。 今朝…

第2の故郷に想いを馳せて

人生の岐路に立ったな、と感じた時必ず聴く曲があるーショパンの『ピアノ協奏曲第1番ホ短調』。この曲はウィーンへ旅立つショパンが故郷ワルシャワを想って作曲したもので、狂ったようにブーニンの演奏動画を見ていた時期にこの曲と出会いました。 私は3歳か…

ひねくれモノ、言葉を語る

私は脳出血を起こした3月3日から現在まで世間から少し遠い場所にいるので、空白の時間を埋めるべく、就寝前はニュース記事を少しずつ読んでいます。 その中でも眼を見張ったのが英物理学者・ホーキング博士の訃報。 恥ずかしながら私は『博士と彼女のセオリ…

未来を選べー

今回の題名はダニー・ボイル監督の『トレインスポッティング』(https://www.google.co.jp/amp/eiga.com/amp/movie/47360/)に因んで。 ドラッグ(ヘロイン)に溺れつつ面倒な仲間と縁が切れないで苦悩する青年の「人生の選択」をドラッグ中毒者の幻覚をはじめと…

これってホントに「ありがとう」?

脳出血の影響で左手脚がひねくれてから一日に数え切れないほど「ありがとうございます」という言葉を使う様になりました。 「ありがとう」という言葉は「すみません」以上に汎用性の高い言葉だと私は思っているのですが、人に助けてもらわなくては日常生活が…

カッコーの巣を越えて

母や友人のおかげで私の読書欲は満たされているのだけれど、根本にある【映画狂(シネフィル)】魂は冷めやりません。念願の『アメリ』を先日観て…心満たされたと同時に、気が付いたことが一つ。 人と関わることが苦手で空想の世界に閉じこもるアメリと変わり…

足元より遠くへ

私が歩行練習をする時に留意する点は大きく分けて以下の3つあります。 1)左右対称の状態で立つ2)内股にならない3)杖を持つ右手ではなく左脚に体重をかける 健常者なら意識せずとも出来ることですが、運動麻痺だけではなく、感覚麻痺のある私は左脚に力が入っ…

キャスト・アウェイ

私が「web編集者」という今の仕事に就けたのはトム・ハンクス主演の『castaway』(http://eiga.com/movie/1326/review/)で主人公が大荒れの大海に浮かぶ「友人」のウィルソンを捕まえることよりも恐らく険しい道のりだったし、幸運なことでした。 ▽私は生まれ…