左脳は右脳の夢をみる

24歳で脳出血を起こしても、この世界で誰かを守るために生きる1人の軌跡。

私は生まれる前からひねくれモノだった!?

私の脳が出血を起こした原因は「脳血管の奇形」だと両親から聞いていましたが、具体的にどう奇形していたのか気になったので、先日父に聞いてみました。すると衝撃的なことが判明します。なんと、出血した脳動脈と静脈を本来は繋いでいる毛細血管が私にはありませんでした。「じゃあ、その箇所の脳血管はどうなっていたの!?」と気になりますよね。毛細血管の代わりに動脈がぐにゃぐにゃっと曲がって、そのまま静脈に繋がっていたそうです。そして、毛細血管で減圧されるはずの血圧がモロに静脈にかかり、動脈とともに爆発…

いやいや、私がひねくれモノなのは学生時代に夏目漱石を読み過ぎたり、ジョゼフ・ロージーの映画やアート系映画を観過ぎて「本と映画があれば一人で生きていけるし!大体さあ、人と関わって傷付くのは面倒だし…」と心がとんでもなくひねくれる以前に決まっていたのかもしれない。「オオサワメグミ」という存在が母の子宮にふわりと息づくずっと前、俗に言う「カミサマ」とかいう方が「最近、これからの人生を歩んで【素直でイイコ】になるような人間ばっかりつくっているからか、刺激もないし、仕事もつまんなくなってきたな…あ、そうだ!ここでとんでもない【ひねくれモノ】をつくってみよーっと!性格や趣味嗜好、心だけじゃなくて脳血管までひねくれてるヤツ!そうしたら、ちょっとは人間の世界をコントロールする面倒で退屈なこの仕事も少しは面白くなるかもしれない…!あーこいつが人間の世界で息をする前だっていうのにどうしようもなくワクワクしてきた!」と閃いて魔法使いの如く杖を振り、「オオサワメグミ」という存在をつくりだしたのかもしれない。そんなひねくれWeb編集者の私を生み出した「カミサマ」が存在するのだとしたら、彼(私の想像ではロマンスグレーの髪を綺麗に撫で付けた老紳士で、ピシッとしたスーツを身に付けている。そして見た目に反して悪戯好き。まさにアルセーヌ・ルパンみたいな存在!)は今何処にいるのだろう。彼とコーヒーを飲みながらゆっくり話がしたい。あまり騒がしいと流れで汚い言葉をぶつけてしまいそうなので、場所は神保町のラドリオがいい。薄暗い店内に灯るランプの明かりをぼんやり眺めながら話そうではないか。「あの、すみません…貴方のとんでもない思い付きのせいでこっちは大変なんです!心がひねくれているから会社には休職を2度もさせてもらったし(何なら脳出血で今3度目の休職中、周りの人たちにも迷惑をかけました!私も辛かったし、ちょっと心が真っ直ぐになってきた挙句に脳出血で左手脚までひねくれちゃうし!」『全て見ていたよ。実に面白かった!特に1度目の休職前にカーテンを切り取って首吊り用の布を用意したものの、肝心のつる場所がなくて右往左往していたのは腹を抱えて笑ったよ!そもそも死ぬ勇気はあの時君になかったんだろう?』「は、はい…何となく辛いから形だけでも、と思って…」『やっぱり!だと思っていたよ!でもそんなひねくれモノの君に私はステキなプレゼントを用意していただろう?』「えっ?飼い猫のことですか?それとも今の仕事のこと?」『違う違う!本当に頭の手術は成功したのか?!』「成功したから、今こうして私は貴方に対して少し怒っているんだし、そもそもIQを格段に上げるための手術ではなく、脳血管を繋いで補強する手術!!」『そうか、そうか。それはさておき、【プレゼント】の話に戻ろう。さっき君は「今の仕事」と言ったが、今の会社で2度も休職をさせてもらった上にWeb編集者の仕事に出会えたのは何故だと思う?』「転職エージェントとして入社したひねくれモノの私を根気強く指導して色々な悩みを聞いてくれた先輩方や今の部署に引っ張ってくれた先輩方、今の部署で一緒に仕事をしてくれた先輩方、そして仕事を通して出会えたクリエイターの方々をはじめとした沢山の優しい人がいたから…」『そして忘れちゃいけない、君が今ここで私と話せているのは?』「三輪先生をはじめとした先生方が11時間にも渡る手術を成功させてくれて、看護師さんや沢山の病院の方が私のサポートをしてくれたから。」『ご名答。つまり、君の人生は【人に恵まれている】んだよ。』「あ、母が私の名前の由来は…「人に愛され、めぐまれるように」愛(めぐみ)と付けてくれたと言っていました。」『君は良い母親をもったね、本当に…よく思い出してごらん、きっと君はそれ以外にも沢山の人に愛され、めぐまれて生きてきているし、今も生きている。ひねくれモノの君には人の世は住みづらいだろう。でも、今日の話をどうか忘れないで欲しい。君は一人では生きていけない。ひねくれモノだからこそ、尚更のことだ。』「でも…私は左手脚も思うように動かないし、感覚もほとんどないし、これからどう生きていけば…」『リハビリをして元の状態に近付けるまで、辛いこともあるだろう。でも、君と関わる全ての人が困った時はきっと君の左手脚の代わりになってくれる。だから、大丈夫。じゃあ、また…』カミサマとのお茶会はこんな感じだろうか。皆さん、私の空想に付き合っていただきありがとうございます笑これからリハビリなので頑張ってきます!